書評
—Ed. by Charles Rupp—《組織としての心》Mind as a Tissue
町山 幸輝
1
1東京大学医学部精神医学教室
pp.1001
発行日 1969年9月1日
Published Date 1969/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202599
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本書は1966年11月10,11日Phi—ladelphiaのLankenau Hospitalでひらかれた第5回国際研究会議の発表論文と討論を採録したものである。2年ごとにひらかれるこの会議はこれまでに《骨》,《脂肪》,《筋肉》および《組織としての神経》という表現でもたれており,そこでは直接的な臨床的応用とは無関係にそれぞれの組織の基木的機構についての某礎的研究がとりあげられている。
《組織としての心》という奇妙な表題をつけられた第5回の会議で取り扱われたものは行動の生物学的研究である。広義の行動の基礎をなす生物学的機構の種々相に関する主としてアメリカの研究が話題としてとりあげられている。それらの研究はこれまでと同じく直接的な臨床的応用とは無関係に選択されたものであり,多くはきわめて基礎的である。従来アメリカ精神医学においては精神力動的色彩が強すぎていたが,本書は明らかにこの偏向に挑戦するためにあまれたものである。
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