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特集 痴呆の臨床と鑑別
Charles E. Wells編著“Dementia”の紹介
Introduction of "Dementia" edited by Charles E. Wells, F. A. Davis Company, 1971
池田 久男
1
Hisao Ikeda
1
1岡山大学医学部神経精神医学教室
1Dept. of Neurology & Psychiatry, School of Med., Okayama Univ.
pp.436-440
発行日 1973年4月15日
Published Date 1973/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202017
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I.はじめに
本誌に「痴呆」が特集されたのは,老人精神医療が社会的に,医学的に重要な課題となりつつある今日,各方面からの強い要請に応えたものであろう。本特集を担当されている諸氏は,それぞれの分野に豊かな経験を持ち,かつ現在実際に研究に従事している方々である。したがってその内容は個々の経験的知識と,各分野における最新の知見が紹介されるであろう。このような特集に接し「痴呆」という現象が複雑かつ大きな臨床上,研究上の課題であることが認識されるほど,「痴呆」について臨床医学および基礎医学の立場からの,従来ならびに現在の知識が系統的に整理,総括されることの必要性が生じるものである。
Wells編著“Dementia”は意図的に「痴呆」の症候学,臨床神経学,臨床心理学,臨床検査(電気生理学的および放射線学的),病理学,神経化学,診断学および治療学の項目を作り,各分野の専門家が分担して「痴呆」に関する従来ならびに最近の知識が総説されているのが特徴であり,このような企画のもとに編集された「痴呆」に関する単行書はわが国はもとより外国においても見当らずユニークなものである。Wells自身が序文で述べているように,「痴呆」は神経科医,精神科医,心理学者および基礎医学者の関心が合流する分野であり,これらの専門分野の知見の総力を挙げてその病態生理が解明されるべきであり,この本にはその総合的研究の可能性が示唆されている。
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