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近年神経筋疾患における罹患筋の組織化学,電顕的組織化学,免疫組織化学などがさかんに行なわれるようになつた。すなわち筋代謝物質や酵素の組織化学的所見と,赤筋および白筋,さらに筋線維構成成分の変化との関連を追及することは疾患の本態解明ならびに治療上重要な資料を提供することが多い。現在組織化学的検索可能な物質は技術的になお限られているが,一般形態学とくに筋線維小胞体・特殊含有物質・間質組織などの検索にはtrichrorme変法が用いられ,嫌気的解糖系物質として糖原・多糖体・phosphorylase・UDPG-glycogen-transferase・aldolaseなどが,酸化還元酵素としてcytochrome oxidase・monoamine oxidase・succinic dehydrogenase・glucose−6—phosphate dehydrogenase・lactic dehydrogenaseなど,その他ATP ase・酸およびアルカリphosphatase・核酸・脂肪などの検索が可能である。神経線維,神経筋終板の分布形態にはacetylcholinesterase染色や鍍銀法などが用いられる。
筋疾患は神経原性(脱神経性)および筋原性(ミオパチー)とで形態学的にも組織化学的にも著明な差異を示す。それは障害の原因により,あるいは骨格筋の神経支配領域に相当した変化を,あるいは筋代謝異常・炎症.変性・再生などにより,きらには先天性素因も加わつて形成されるからである。図1〜3は正常筋,図4〜6は神経原性三筋疾患,図7〜9は筋ジストロフィー症,図10〜15は神経原性筋疾患,図16〜21は重症筋無力症,図22〜24は進行性筋ジストロフィー症,図25〜28は筋強直性ジストロフィー症,図29〜30は筋炎,図31〜33は先天性ミオパチーにつき各々特異像のみを提示した。
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