神経組織化学アトラス9〈臨床編3〉
Lafora病
難波 益之
1
1岐阜大学医学部精神神経医学教室
pp.1196-1203
発行日 1968年12月1日
Published Date 1968/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202470
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Lafora病は,臨床的に性格変化,てんかん,ミオクロニー発作,小脳症状および痴呆を主徴とする進行性家族性疾患で,中枢神経,心筋ならびに肝実質細胞をおかす代謝疾患である。組織病理学的には,神経系にLafora小体,心筋と肝にはPAS陽性物質が沈着する。これら沈着物に対する最近の研究の動向は,単離したLafora小体の化学分析(Yokoi et al,: Arch. Neurol., 19: 15-33, 1968)と電子顕微鏡(以下電顕と,また光学顕微鏡は光顕と略)的研究の領域へ発展している。
図1,図2はLafora小体の脳内分布特異性を示す。Lafora小体発現の脳内局所特異性は,Lafora小体の母地となる神経組織の細胞化学的特異性の相違を示すきわめて重要な問題である。Lafra小体は大脳白質中には非常に少なく,逆に灰白質ではほぼどの部位にもPAS反応で紅色を呈する大小種々のLafora小体が多数散在している(図1)。大脳皮質の細胞構築に対応した局所特異性は目立たないが,皮質下灰白質では著明である。小脳歯状核,黒質のほか,視床網様核,髄板核,視床腹側核中間部=Vi (新見)および蝸牛神経腹側核(図2)には大型小体がことに多数出現する。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.