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あとがき
塚越 廣
pp.864
発行日 1968年8月1日
Published Date 1968/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202429
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精根をこめ,長い間苦労してようやく書き上げた論文が,投稿された後,不採用になつて返却されてきた時ほど,不愉快な気持になることは少ない。そのような未熟な論文を書いた自分自身が情けなくなることはもちろんであるが,それにもまして苦心した論文を採用してくれなかつた編集者が憎らしくなる。
そのような気持が十分にわかるだけに,逆に編集者の立場になつて投稿された論文を読む気持は複雑である。論文を読み終えてこれは採用できると思つた時はほっと安堵する。時にはまた論文の素晴しさに感嘆おくあたわざることもある。しかしこのままでは採用しかねると思った時は実に困惑する。少し位おかしな所はあつてもそのまま雑誌に掲載してさしあげたい気持は十分にもち合わせており,またその方が面倒な手続きがはぶけるのであるが,その論文の価値については日本国内はもちろん,世界の人々が精読し批判していることを考えると,そう簡単に目をつむつて通すわけにはゆかなくなる。
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