書評
—Konstantin Scharenberg, leopold Liss—Neuroectodermal Tumors of the Central and Peripheral Nervous System
佐野 圭司
1
1東大
pp.32
発行日 1970年1月1日
Published Date 1970/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202657
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この本はPio del Rio Hortegaにささげられている。このことがこの本の性格を表わしているといえよう。というのはこの著書の材料はすべてHortegaのsilver carbonate法あるいはその変法で染色されているからである。その意味でこの著書は脳腫瘍の神経病理学をあつかつたもののうちではきわめてユニークなものといえよう。たしかに神経膠細胞の形態学はsilver carbonate法のほうがより良く,より詳細にわかるので,この方法で染められたものを普通のH-E染色で確めなければならないなどという病理学者がいたら,それは馬に荷車を引かせるのではなくて,荷車に馬をひかせるようなものだと著者らは皮肉を言つている。
まずglioblastoma, astroblastomaについて述べている。前者ではsil—ver carbonate preparationsを位相差顕微鏡でみるとsyncytiumを作る傾向があることがわかるというのが興味深い。後者は著者らによれば未分化のastrocytomaではなくて,神経膠腫のひとつのdefinite typeである。脳のみでなく,視神経に見られる。
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