Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
Methaqualone (MQ)は主に皮質,中脳,脊髄に作用する中枢抑制剤。0.15〜0.4gの量で沈静効果あり。自殺の目的で MQ 4〜30 g内服して重症中毒を招いたというのはドイツに報告あり(lbe, K.:Arch. To—xik.21:179, 1965。 ibid 22:16,1966),医師の処方なしに自由に購入できるためであろう。その主徴は運動性亢奮,深い昏睡,瞳孔の急速な変化と対光反射消失,四肢過伸展を伴う筋過緊張,反射亢奮,痙攣などである。稀にtonic-clonicの痙攣,嘔吐,流誕,流涙がみられる。こうした症状が軽快しても,その後24時間ぐらいNach-schlaf状にねむるものが多い。死因は心不全,肺炎,ショックなど。MQ中毒症状は併用した薬物によつて修飾され,従つて診断困難となる。自殺行為の場合とくに然り。著者は3例のMQ+MB中毒症例を自験している。その1例48歳男,昏睡,徐脈,呼吸困難,瞳孔縮少,対光反射なき状態で発見された。1時間後入院,チアノーゼ,筋弛緩,瞳孔反射あり,脈96,呼20,血圧 115/80,体温 36.90C,腱反射すべて亢進,クローヌスあり。気道確保,点滴,テラマイ,パンマイラン,酸素療法。以後2〜3時間,昏睡は深化。瞳孔縮少し反射消失,四肢過伸展,呼吸12,血圧80/50,反射低下。metaraminol 8時間点滴。痙攣。この状態一夜つづく。翌朝,癒痛反射現われる。第2日朝,いくらか物をいう。四肢動かす。第3日朝までコンコンとねむる。しかし呼べばさめる。MQO.15+MBO.2g入りの錠剤40個のんだため。第4日ようやく回復。MQ+MB錠は20錠で昏睡に陥りうる。MQ排法は尿路と糞便だが,その中毒では腸運動がつよく抑制されている。MQは48時間後,胃の中から証明された。MQ吸収ののろいことが昏睡の長くつづく理由であろう。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.