講座
筋疾患の病理学的診断の実際〈第1回〉
里吉 営二郎
1
,
木下 真男
1
1東邦大学医学部阿部内科
pp.177-183
発行日 1968年2月1日
Published Date 1968/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202349
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I.はしがき
近年,筋疾患に対する関心が高まり多くの研究が行なわれるようになつてきたが,臨床的にも日常の診断検査法として筋生検が頻繁に行なわれるようになり筋を病理学的に検索する機会がいちじるしく増加してきた。一方最近いくつかの新しい疾患が報告されており,それらの疾患の診断に筋病理学所見を欠くことができないことが知られている。しかし一般にはまだ正しい知識が普及されていないために正確な病理学的診断が行なわれず,時には誤つた診断が下されたり,未知の疾患が見逃されてしまう危険も少なくないように思われる。著者の一人は最近Shy教授の下で筋病理学を学ぶ機会を得たのでこの際その経験やいろいろ持ち帰つた材料を中心に,実際に筋生検を行ない,病理学的検索をする際の基礎的知識をまとめてみることとした。その他従来神経筋疾患と考えられている疾患についてそれぞれの特有な所見を述べ,筋病理学的な検索が疾患の診断に及ぼす役割やその限界などについても簡単に述べることにした。
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