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VI. Pathognomonic diseases その2
a. glycogen storase diseases
Pompe病57) : acid maltaseの障害
Forbes病58) : amylo 1-6-glucosidaseの障害
Anderson病59) : rancher enzymeの障害
McArdle病60) : amylophosphorylaseの障害
Thompson病61) : phosphoglucomutaseeの障害(?)
垂井病62) : phosphofructokinaseの障害
里吉病63)64) : hosphohexoisomeraseの障害(?)
Glycogen storage diseaseのうちには他にvon Gierke病,Her病などがあるが,これらは筋を侵さないことになつているのでここでは除外した。McArdle, Thomp—son,垂井,里吉らの報告した疾患は筋のみのGlycogen strage diseaseで,いずれも類似の臨床像を呈し,そのためMcArdle syndromeと総称されることもあるが,これから述べるようにその原因となる酵素の欠乏はそれぞれまつたく異なつたものであるから各々独立した単一の疾患と考えるべきである。McArdleが初めて報告したのは1951年で,患者の臨床的特長は運動負荷により筋がかたくなつてしまい,それ以上の運動ができなくなる点である。患者は疼痛を訴え、時には数日間この状態が続くこともある。この時に筋電図検査を行なうとaction potentialは認められず,筋は電気的にsilentな状態で短縮されたままになつていることがわかる。すなわちこの状態はcontractionと呼ぷことができず,いわばcontractureと呼ぶべきであろう。この状態はLunds—gaardの実験65)における乳酸を産出しない筋の状態と同様で事実この症例では運動血中の乳酸の上昇が正常に比してきわめてわずかであることが確かめられた。この乳酸が上昇しない原因は後にSchmidtおよびMah—ler66), Pearson67)らによつて筋のamylophosphorylaseAの欠乏であることが証明された。筋の生検標本ではPAS染色陽性であるglycogenが著明に蓄積され,この現像はsubsarcolemmaでもつともいちじるしく,横断面上数ミクロンか数10ミクロンの厚さにわたつてsarcolemmaとmyofibrilがへだてられて見える。この現象は普通のH-E染色その他でも明らかで、glycogenの存在は認められないが,Sarcolelmmaとmyofibrilの間が広いempty spaceとなつているのが観察される(第23図)。したがつてglycogell染色でない普通の標本からもこの疾患の存在を推定したり診断のいと口とすることも可能である。この物質がglycogenであることはamylaseを加えてincubationすればPAS陰性であることで証明される。amyloidなどの際にはamylaseによつてPAS陽性が消失することはない。さらに凍結標本にamylophosphorylaseの染色を行けない,組織化学的にこの酵素の欠如を証明すれば診断は完全である。
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