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Martins (J. Neurosurg. 22:268,1965)は下垂体腺腫を,non-invasive,invasiveおよびfrank carcinomaに区分したが,肉眼的には悪性,組織学的には良性という型がある。inva—sionは単なる腫瘤のextensionと区別しなくてはならぬ。またinvasiveであつても必ずしも転移しない。Feiring (J. Neuropath. exp. Neurol.12:205, 1953)によれば,下垂体癌は発育早く,照射療法に反応しないという。肉腫と違つて,癌は照射後に起こるという特色はない。多くはchromophobeであるが,稀にeosi—nophilic,basophilicがある。著者例は1951年54歳で,視力視野障害で来院。bitemporal hemianopsiaあるも,レ線でトルコ鞍拡大なし。下垂体腫瘍を疑う。照射46日2995r.。その後視野改善。1953まで健康。ここでふたたび視野狭窄,bitemp. he—mianop.あり,5週かかつて2433r.照射。改善,1954年末まで健康。甲状腺末,stilbesterol療法で更年期症状を治療。1955年X線でトルコ鞍異常なし。同2月右前頭から開頭,トルコ鞍内の一部嚢胞性の腫瘍切除。chromophobe adenoma。中に異型細胞の集塊あり。以後2年健康。1963年視力視野の異常強くなり,再入院,再手術。再発腫瘍をsubtotalに切除。右側は視神経下へ横隔膜が圧迫さる。組織学的には前とまつたく同じで,核分裂像なし。その後第3脳室が下から圧迫されている像あり,第3回の開頭。交叉槽付近の腫瘍切除,組織像は同じだがpleomorph強く異型細胞多く,核分裂像あり,1ヵ月半後死亡,剖検。右頸動脈をとりまき腫瘍残存し,視神経・交叉を圧迫。小結節が右前頭葉下面にあり。chromophobe型のpoorly diffe—rentiated carcinoma。14年の経過で,この間,2回の照射を受けており,照射が発癌に深い関係があつたかと考えられる。肉腫では照射の原因性を容認する研究者が多いことは,いうまでもない。
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