紹介
砒素剤の発癌性,他
pp.413
発行日 1961年5月1日
Published Date 1961/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203051
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最近ドイツにおいて砒素癌が大いに注目されているのは,葡萄園において家庭飲用料として用いられたものに砒素の含有量が多く,それの飲用の結果,癌が発生したと推定されたからである。なおまた,慢性の治療性砒素中毒も癌発生の原因となつた事実が指摘された。かかる患者の多くは長年にわたりホーレル水によつて乾癬の治療を受けたものであつた。砒素の発癌作用は皮膚以外の器管,たとえば肝また肺にも発現することが次第に明らかになり,砒素剤を使用する医師はますます減少している。Schuermannは不可欠の適応以外に砒素療法を行つてはならないという。何かある種の砒素化合物なら癌発生に対して無害であるという根拠はないが,しかし特殊の砒素製剤であるところのOptarsonあるいはSol-arsonによつて癌を生じたことは未だ知られていない。文献 Hecht,G:Dtsch.med.Wschr.,85.Jg.,Nr.41,1817(1960).
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