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VB12欠乏による精神症状は,そのどの時期にも,貧血があつてもなくても,megaloblastosisがあつてもなくても,発現し,症状不定なために,診断困難のことが多い。しかし,早期に発見すれば完治をのぞみうるものである。不幸にしてEdwin(Acta med. Scand. 177:689,1965)によると,考えられている以上に本症は多いものであるという。そこで著者らは無選択的にAberdeen地区精神病院に来院の連続1012例(12ヵ月)について,antigastric parietal cellantibody (AGA),血清VB12, Hb,antiintrinsic factor antibody (AIFA)をしらべた。その結果,AGAテスト陽性8.1%(このうちVB12欠乏証明された9例,悪性貧血5例あり)。false-positiveは68例となつたが,そのうち25例はヒスタミン不応の無酸症あり,VB12測定は正常域。このなかに真にVB12欠乏があるか否かは決定できなかつた。血清B12測定で9例は有意の低減で,上記のAGA陽性例である。Hb 85%以下は数多かつたが,未治療B12欠乏と確定し得たのは3例のみ。他にAGA陽性1例あり。AIFAテスト陽性4例,これは上記VB12欠乏,AGA陽性9例の中のものであつた。悪性貧血5例のVB12療法(manic—depressive 1, depression with con—fusion 1, hypochondrial 1, dementia2)の結果は改善2,死亡1(綱検で脳血管粥状硬化),不変1,再発1である。何れもヒスタミン不応無酸,骨髄がnormoblasticとなつたもの2例。このテストを全国にひろめて精神病患者を調査することがのぞましい。
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