技術解説
Vb型胃カメラによる噴門部の撮影
遠藤 光夫
1
,
山田 和毅
1
1東京女子医科大学消化器病センター
pp.1167-1171
発行日 1969年9月25日
Published Date 1969/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111044
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Ⅰ.はじめに
1950年,宇治らにより胃カメラが開発されて以来,胃疾患の診断は一段と進歩してきた.ごく最近になり優れたファイバースコープが出現し,微細病変の診断,動的観察が客易になったが,なお撮影が簡便であり,広角で焦点深度の深いカメラ像は捨てがたく,現在でも広く使われている.
胃カメラ普及の当初,中山教授は噴門部,胃体上部の盲点を解消するために,それまでにあった中山式逆視式胃鏡の原理を胃カメラに応用し,1956年,Ⅱ型胃カメラのアングルをup80°まで屈曲できるように改良した逆視式胃カメラを考案した.以来長年にわたり噴門部の撮影に用いてきたが,Ⅱ型胃カメラは胃カメラとして軸も太く,かたく,さらにこまかい点で不便なところが多く,現在はV型カメラにアングル効果としてup80°まで屈曲できるようにしたVb型胃カメラを用いている.
胃ファイバースコープを含め,現在のすぐれた胃内視鏡では,穹薩部への反転は容易で,routineとして噴門部を観察することが可能になった.しかし,Vb型胃カメラでとらえ得る噴門,胃体上部の像は近接した正面像として得られ,反転法とはちがったニュアンスをもっているので,われわれは現在でも特殊撮影用として他の内視鏡と併せて使用している.
以下,Vb型胃カメラでの噴門部の撮影につき実際的な面からのべてみるつもりである.
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