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あとがき
萬年 甫
pp.1046
発行日 1966年10月1日
Published Date 1966/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202126
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- 文献概要
本誌の写真のページとして,神経病理についで,神経系の電顕像が連載されている。わが国のこの方面の専門家を網羅してのことで,約1年の予定である。電子顕微鏡がすでに光学顕微鏡とともに日常の検査手段化しようとしているとき,おおいに参考になるものと確信している。
解剖学会の演題集を見ても,近年はその60〜70%ないしはそれ以上が電顕ないし組織化学関係のもので占められている。そして一部にはこれらによらずんば新しいものは出てこないといわんばかりの威勢のよい声をきく。そこにはこれらの手段を絶対視する態度がはつきり見えている。たしかに電顕にしても組織化学にしても,日常の組織学的検査法に比して,はるかに多くの経費がかかる。これだけ費用をかけるのだから新しい所見が得られないはずはない,いや得られなければ困るという気持も十分にわかる。事実,これらの手段によつて得られた知識はきわめて貴重であり,革命的といつてもけつして過言ではない。しかし,問題はこの手段の側にあるのではない,これを絶対視しようとする人間の側にあるのである。
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