書評
—編集:塚田裕三・黒川正則—中枢神経実験法(生化学編)
奥村 二吉
1
1岡山大学
pp.803
発行日 1966年8月1日
Published Date 1966/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202093
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本書はこの方面の第一線の研究者29名の人々が神経生化学の実験に必要な事柄を5章29項目にわたつて記述したものである。したがつて神経化学の実験に必要な殆んどあらゆる事項が述べられている。編者も序において述べておられるように神経系の代謝の研究には生化学の基本的な技術に加えて多少の修正が必要な場合が多い。また,神経系はその構造と機能が密接不離であるから,構造を離れて生化学だけを論ずることは適切でない。本書はよくその点が配慮されていて,生体脳の代謝や脳灌流法から脳切片による実験法,脳切片の電気刺激法,HydenやLowryによる神経組織微量定量法,さらに細胞内成分の分画法に至るまで,すなわち,生体のままの脳からミトコンドリアまでの実験法が懇切に述べられている。
神経系内に含まれる各種の物質(電解質,リン酸化合物,アミノ酸,脂質,核酸,アミン類,アセチルコリン等)の定量法が記載されていることはもちろんである。また,神経系の物質組成(標準値)なる項目もあつて各物質の標準値が25頁にわたる詳しい一覧表としてあげてある。これは実験者には大変便利なことと思う。
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