Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
piperazineは駆虫剤として1950年ごろから用いられるようになつた。治療量のpiperazineで,小児の75%はEEGに異常を招くというSnoeck (Belg.T.Geneesk.19:886.1963)の報告もある。Schuch (Z.Kinderheilk,87:531,1963)は小発作および大発作があつて抗ケイレン剤を与えられている17名をふくむ33例の小児にpiperazineを底与えた。患児17名はいずれもEEGに異常がでた。そのうち1例は(11歳少年)はげしいケイレンとともに死亡した。症状のなかつた16小児はEEGに異常があつたが,ケイレンは起らなかつた。神経症状のある児童にはpiperazineは与えないほうがよい。この他piperazineでmyoclonus,アタキシー,hypotonia,腱反射減弱,dysarthriaなどが見られたという報告がある。しかしpiperazineで小発作が誘発されたという報告はないようである。著者例は9.5歳白人少女,7才のときはじめてpetit malあり,15〜30秒つづいたが,この発作後,少女はそれを覚えていない。その後週1回,だんだん回数多く,1日10〜20回起こるようになつた。Dilantin,phenobarbital,Tridione,Celontin,Aralenなどを与えられたが,ケイレンは消失せず,かえつて脱毛症となつた。諸検査の結果,遺伝的のabsence型小発作と診断。その後Tridione1日4回投与でケイレンまつたくおさまる。2年後,蟯虫症に対しpiperazine 550mg錠,1日4回与えらる。投6日目,今までまつたく沈黙していた小発作が突然おこり,投薬中止して3日後ようやく発作が停止した。piperazineで小発作誘発という最初の報告であろう。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.