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特集 錐体路系の機能
VII.主としてH波による中樞運動系機能の研究—単シナプス反射伝達
On function of central motor nervous systemmostly by H wave:on monosynaptic transmission in spinal cord
本間 三郎
1
1千葉大学医学部第1生理
pp.1117-1119
発行日 1965年11月1日
Published Date 1965/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201945
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骨格筋を支配するα運動神経は,脊髄の前角において,第I群a線維を受け,これと単シナプス性に連接している。この第I群a線維からの発射は,運動神経にインパルス(インプルス)が発生しやすいようにその活動を促進する。普通臨床面の診断で用いられている腱反射は,腱を叩打することで筋紡錘が伸展され,第I群a線維を発射が上行し,運動神経にインパルスが伝達され,運動神経活動が骨格筋を収縮せしめたことに他ならない。また脛骨神経を電気刺激したとき下腿伸筋から記録されるいわゆるH波は,脛骨神経中に合まれる第I群a線維が刺激され,発生したインパルスが単シナプス反射によつて運動神経に伝達され,筋が収縮したためである。このH波を示標として実験することによつて中枢神経系の機能が広く研究されることになる。なかんつく随意運動下において,このH波の出現が促進されるので,錐体路系機能の診断に役だつことになる。
H波の促進は,第I群a線維から運動神経にインパルスが伝達されるさいにおこり,いわゆる単シナプス伝達の場においておこると考えられる。第I群a線維からインパルスが運動神経に到達すると運動神経に後シナプス電位が生じ,運動神経の膜電位が脱分極される。この脱分極が一定値に達するとき運動神経は興奮し,シナプスにおけるインパルスの伝達が完成する1)。本研究は第I群a線維からの発射により生ずる後シナプス電位とそれよりおこる運動神経興奮の関係をしらべた。
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