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特集 錐体路系の機能
IV.錐体路線維の脊髄髄節支配と脊髄傷害にともなう痙縮の発現機序
Spinal segmental control of pyramidal tract fibers and mechanisms of spasticity following spinal injury
藤森 聞一
1
,
森 茂美
1
1北海道大学医学部第2生理
pp.1107-1111
発行日 1965年11月1日
Published Date 1965/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201942
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中枢神経系の種々の障害によつてひき起こされる固縮rigidityと痙縮spasticityは,臨床的にも重要視されてきた古くからの問題であるが,従来から一般にはPar—kinsonismsの場合にみられる固縮に対して,錐体路傷害の場合には痙縮がみられるものとされ,前者においては,四肢の他動的屈伸に対してその速度にかかわらず一様な抵抗を感じ,腱反射は必らずしも亢進しないのに対し,後者の特徴としては腱反射の亢進,四肢の他動的屈伸の場合に速度を増すと抵抗も強まり,また,たとえば伸展位にある四肢を他動的に曲げようとすると,ある角度までは強い抵抗を感ずるが,それ以上曲げてやると急に抵抗がゆるむいわゆる折込みナイフ現象clasp-knife phe—nomenonが認められ,その他の併発症状としてclonusとかBabinski現象がみられることがあげられてきた。
しかし,このような分類は不明確であるので,別な観点から,島津,楢林ら(1960,1962)16)は,種々の患者の筋の伸張反射stretch reflexの場合の筋電図を観察し,筋を急に伸張させた場合に現われるphasic (dynamic)な筋霜図と,伸張位にとめていても続けるtonic (static)な筋電図とを区別し,前者の亢進状態を痙縮,後者のそれを固縮と定義するゆき方を提称した。これは現象的には興味深い分類であるが,これもそれらの発現機序に基づく分類とはいえないわけである。
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