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小児の神経病に関する教科書はアメリカで1905年に出版されたB.Sachsの"Nervous Diseases of Child—hood"が最初である。その後30年近くこの分野は未開拓のまま放置されていたようにみえたが,その間に,Fos—terのもとでインターン時代なすごしたF. R. FordがFoster自身も小見の神経病学の知識に乏しく,小児科医もそれにあまり興味をもつていないことを知つて,この領域に斧をいれる決心をし,BaltimoreのJohns Hop—kins Hospitalからほとんど学会歩ぎをしないで,研究にうちこんだ成果が,"Diseases of the Nervous System in Infancy, Childhood & Adolescence"に結集されて1937年に出板され,それが1960年には厖大な第4版をかさねるまでに成長したのである。この書は小児神経学の一大辞典であり,座右に備えておかねばならない貴重な古典であるが,今日では新しい見地に立つて再編集すべき時にきている。それを理由づける最もいい例は,Status dysraphicusの項が,Spina befida と Klippel—Feil症候群との間に挿入されて,わずかに1頁で片づけられていることである。Status dysraphicusは上位疾病概念であつて,その前後の二つの症候群は,その下位概念とし,他の多くの同様の疾想または症候群とともに列挙されるべぎである。
1959年に同じようにBaltimoreの書店から発行されたA.Dekabanの"Neurology in Infancy"は病理組織の標本と記載をR.M. Normanが責任をもいた点では信頼できるが,私にはほとんど参考にならない。
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