Japanese
English
研究
中枢神経系疾患と肺水腫
Pulmonary edema and central nervous system
脇坂 順一
1
,
高木 繁幸
1
Jun-ichi Wakizaka
1
,
Shigeyuki Takagi
1
1久留米大学医学部脇坂外科
1Dept. of Surgery, Kurume Univ., School of Med.
pp.127-133
発行日 1965年2月1日
Published Date 1965/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201776
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I.はじめに
肺水腫は外科的浸襲を契機として発来することが多いが,手術のみでなく,外傷,ショック,さらに薬物中毒等の各種侵襲の後にも発来することが知られている。しかもその予後はきわめて重篤であり,過半数は致死的なために,古くから諸家の関心を集め,その発生機伝を解明せんとして数多くの実験的ならびに臨床的研究がなされてきた。
この肺水腫発生の要因は複雑多岐にわたり,これを単一の機序で説明することはもとより不可能であるが,今日まで本症発生の重大な因子としては心不全状態,肺毛細管透過性の亢進,神経性因子等があげられている。もちろん,これら種々な要因の組合せによつて肺水腫は発生してくるが,その根本理論は肺毛細管からの濾出速度が肺リンパ管の再吸収能力を上まわることにあるとされている。さて,術後急性肺水腫といえば,多くは胸部外科との関連において考えられがちであるが,中枢神経系疾患と肺水腫の関係も忘れてはならない なかでも発生因子のうち神経性因子については,かなり古くからその報告があり,肺水腫発生と中枢神経系障害との間には密接な関係があることがうかがわれてきた。
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