Japanese
English
特集 肺水腫
中枢性肺水腫の研究
Study of Pulmonary Edema from Preoptic Lesions.
卜部 美代志
1
,
瀬川 安雄
1
,
葛葉 晋
1
,
坪川 孝志
1
,
泉 海一
1
Miyoshi Urabe
1
1金沢大学医学部外科
1Department of Surgery, Medical School, University of Kanazawa.
pp.193-199
発行日 1958年3月15日
Published Date 1958/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200601
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I.中枢障碍と肺水腫発生との関係
肺水腫発生についての神経性要因を考えるに当り先ず中枢障碍時の肺水腫発生を注意してみると,かなり古くからその記述がある。即ち1918年Moutier17)が脳外傷で24時間以内に死亡した例に屡々肺水腫の合併することを経験し,その原因を副腎の異常な機能亢進による血圧上昇に求めて以来,脳疾患と肺の欝血乃至水腫間に関連性が注目され,諸種の脳疾患,脳外傷に肺水腫を随伴したことが報告されている。即ちHess (1934)9)は脳腫瘍,脳出血及び癲癇発作の重積等の患者に肺水腫を合併したことを報告し,Manuza (1935)14)は中枢神経系疾患で肺水腫を伴つた報告例を集覧して,直接中枢神経の障碍によつて起る肺水腫の発生機転は中枢神経系中に分布している自律中枢の破壊というより寧ろ刺戟によるもので,脳外傷の場合には損傷部位に於て有機物の分解によつて作られた物質の中毒性刺戟によるものであると推定した。更にWeisman (1939)24)は頭蓋内出血686例について肺の重量を調べているが,受傷後30分乃至1時間以内に死んだ例の大部分に肺水腫を認めた。
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