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周期的に視床下部症状を呈し,Cushing症候群様の症状を呈した14才少年の報告。5才まで気管支炎をしばしばくりかえした。悪心・嘔吐・発熱をくりかえすのもウイルス感染のためかと考えられた。6才ごろから3〜5日つづく悪心嘔吐。発熱6抑鬱・体重減少という症状が1.5〜3カ月に1度ぐらいあらわれる。発作のない期間には体重増加し学校に行く。やがてこの発作は3週に1度というほどにまつたく周期的になり,ために家族は病気と考えなくなつた。高度の胃拡張を呈したpyloro—spasmで入院。来院時肥満(野牛型ではない),皮膚線条,乳房肥大,陰毛発生あり。発作は常に朝で4〜5日つづき,間隔は19〜25日。発作は入院中に7回あり,その都度,嘔吐,発熱,血圧上昇,体重減少が著明である。抑鬱症状著明,顔面多血様となる。皮膚に発疹をみた発作もあつた。発作時の胃液分泌1320ml,間歇期150ml。発作時白血球増多(〜19900)あり,左方移動を示ず。赤沈促進(〜18-20mm/h)。尿所見は発作時にも著変なし。WaR (—),ブルセラ(—),冷式凝集素(—),Coombs (—),LE (—)。血清Na,K,Clは発作時も正常。総コレステロルが発作時に上昇。尿アミノ酸正常。VMA正常。5HIAA正常。視野,視力に異常なし。気脳写正常なるも左室やや大。抗痙攣剤,EEGの所見から本症例にepileptiform disorderなきことは明らかである。内分泌学的には発作は血漿ACTH0.79〜1.98mu%(正常<0.5),血漿cortisol 5.57〜9.57γ% (発作前0〜8)。SU−4885テストは正常域。尿17KSも発作的増加(〜66mg)。ACTH-cortisolの発作的増加が上記の白血球増多,糖代謝障害の原因になつたと思われる。TSH, GTHは正常だから,もつぱらACTHのみが発作的に増加するのであろう。こうした発作的にACTH分泌が亢進し,副腎機能亢進症状を呈したという症例は,文献にEngel (Arch. Neuml. Psych., 54: 37,1945)およびGraham (Psych. Neurol., 135:361,1958)の報告をみるのみである。
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