連載 神経病理アトラス・7
脳血管障害の病理—その2
福永 昇
1
,
西井 啓二
1
1東邦大病理
pp.859-866
発行日 1964年10月1日
Published Date 1964/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201722
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静脈系の循環障害
静脈系における流去障害は,動脈系のそれにくらべて,われわれの関心の比較的に疎遠であつた分野である。ただ上矢状洞における血栓性閉塞は産褥時血漿中のフィブリノーゲンの増加した場合,あるいは分娩時外傷,外科的侵襲後の脱水,悪液質,赤血球増多症,鎌状貧血,白血病,先天性心疾患,心不全などの際に認められ,また顔面皮膚,副鼻腔,乳様洞などにおける化膿性炎に続発する静脈炎,それに伴う硬膜下出血,静脈内圧および髄圧の亢進をきたすことは比較的によく知られている。これに反し,脳実質内静脈の流去障害に基づく局所の浮腫,anoxia,出血などは,動脈性起因のものとしばしば誤認混同されてきた傾向がある。
【44】は塩化バリウム造影,ソフテックス撮影による脳内表在性および深部静脈の分布を示す慶大山村博士の提供による写真で,【45】は静脈分布を模式的に示したものである。
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