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特集 シンポジアム 情動とその障害
視床下部情動機構の脳外科的考察
追加討論・2
Paradoxical sleep (EEG after-reaction)発現機構における体液性因子の重要性
Influence of Humoral Internal Environment upon Paradoxical Sleep
川上 正澄
1
Masazumi Kawakami
1
1横浜市立大学医学部第2生理
1The 2nd Dept. of Physiology, Yokohama Univ. School of Med.
pp.828-835
発行日 1964年10月1日
Published Date 1964/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201717
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脳波記録用同心電亟を脳内に植込んだウサギを用い,防音室内で人工照明下にparadoxical sleep (EA)発現機序を解明する一助としての実験を行ない。下記の結果を得た。
1) 脳波の周波数分析の結果からみると,EA発現時には内側脳東部,視床中心核,中脳部網様体など汎投与賦活系の一部分では4〜30c/sの周波数をもつ要素が覚醒,睡眠両相におけるよりも優位にたち,また海馬,視索前野内側部,視床下部外側部,視床下部後部,中心灰白質など中脳辺縁系と密なる関係をもつ部分では上記諸部位と類似した変化を示し,4〜8c/sあるいは8〜13c/s以上の周波数要素が覚醒,睡眠両相の場合よりも優位を占める。特に海馬では動物がalertな行動を示す場合にみられる周波数要素の変動よりも優位にたつている。
大脳皮質前頭部では覚醒時の周波数要素の変化と相伴つて変化し,睡眠時のそれとは逆相関のような変化を示す。大脳皮質辺縁部でも前頭部と同様に覚醒時と睡眠時の中間的位置を占めているが,その周波数要素の移り変りは覚醒両相と伴つている。他方,嗅球部,視索前野外側部,視床前核,視床下部底部などでは,汎投射賦活系の一部分にみられた変化とまつたく異なり,その周波数要素の変化は3者のうち最低値を示した。
2) EA現象の出現は断眠(6〜12時間)から解放4〜8直後時間にいちじるしく増加する。
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