Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
中枢神経系における内分泌活動の調節機序を解き明かすため成熟家兎に慢性電極をうえこんで,その行動を束縛せず自然に近い状態で観察し,同時に脳波を記録した。連続2日間estrogenを0.8 mg投与し,発情準備状態を作り,3日目にproges—teron 2.0mg を皮下注射して発情状態を起こさしめ,脳波のpatternをみると,視床下部前部に属する外側視索前野,内側視索前野に著明な変化を認めた。これはいずれの振幅も,controlの2〜3倍に増大し,8〜15cpsの波が速波化して,20〜30cpsとなり,特にspikeを混ずる。24時間後でもなお変化したま主の状態で,元に戻らないことが多く,振幅は逆にcontrolの2/3ほどに減少することもあつた(第1図)。網様体では振幅がいちじるしく増大し,発情期にEEG arou—sal thresholdが低下することと関係して興味深いが,24時間後にはほぼ元に戻つている。扁桃核では,著明な変化がみられ,発情によつて振幅が1.5〜4倍に増大する場台,2/3〜3/4倍とわずか減少する揚合がある。波形は速波化する傾向にあるが,かならずしも一定でなく,spike成分が多くなり,徐波化することもあつて,24時間後も変化したままの場合が多いが元に戻ることもある。結果の一致しないのは,扁桃核のうち,部位による差異が考えられる。海馬はで,少例ながら,頭部と尾部に差を生じ,前者が速波化して振幅が減少すれば(9〜12cps→12〜18cps)後者は徐波化して振幅は1.2〜1.8倍に増大する(第2図)。嗅球部では,controlに比してextrinsic factorがsleep patternでは減少し,arousal patternでは増加しており,発情に伴なう嗅感覚の興奮性の変化を示している。さらに,中央隆起,乳頭体など視床下部基底部においても,振幅,周波数に著明な変化がある。大脳皮質前頭部ではあまり変化なく,後膨大辺縁皮質の変化といちじるしい対照をなしている。視床中心核ではほとんど変化が認められない(第3図)。
Copyright © 1962, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.