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I.はじめに
身体表面のふるえのリズムと脳波のリズムとの相関については,いくつかの研究がみられるが,あまり密接な相関がないというのが一般の結論のようである9)。
筆者らは身体表面の振動について,精神薬理への応用3),精神生理研究への応用などを中心に研究をすすめてきたが,振動の記録部位としてすべて拇指球を撰んだ。拇指球から誘導されたMinorTremor (MT)でも,中枢神経系機能の指標として役だつものであることが分つたが,延髄より上位の脳の機能をみるためには,拇指球のMTの中には,他の要素が混入しすぎるおそれがある。すなわち脊髄自体のもつ興奮性,拇指球の末梢血管の影響などが介入してくる。したがつてMTによつて延髄よりも上位脳の機能を知るためには,MTの誘導部位が問題となるのである。さて一般に昔から,臨床家の間では眼瞼のふるえが中枢神経系全般の被刺激症状の現われとして注目されてきた。一方最近の筋電図学的研究によつて7),筋肉にはkineticとtonicの2種類があることが見いだされており,顔面筋や眼輪筋は,比較的すみやかな運動をつかさどり,したがつてkineticの要素が大きいことは当然考えられることである。以上のような理由で,眼瞼振動をMTの面から分析し,従来単に臨床家の間で経験的にのみとり扱われてきたものを,神経生理学的に分析しようという意図のもとに本研究に着手した。まず手はじめとして,種々の頻度の顫光刺激によつて眼瞼の振動がどのように変化するか,すなわち顫光刺激に応じて,脳波にみられるような同期現象があるかという問題をとり扱うことにした。
The human lid flutter was recorded by me-ans of crystal pickup and EEG machine and analysed with automatic frequency analyser, which has seven frequency bands such as 6-7, 7-8, 8-9, 9-10, 10-11, 11-12 and 12-13c/s.
The fine lid flutter (vibration) with both eyes closed has irregular and fast rtythms.
The analyser write-out shows the highest deflection at the band of 11-12c/s.
Intermittent photic stimulation was applied at the frequency of 6.5, 7.5 8.5 9.5, 10.5, 11.5 and 12.5c/s for ten seconds respectively.
The lid flutter has the tendency to synchro-nize with the flickered light frequency.
It was discussed that such photically acti-vated palpebral response may be a good indi-cator demonstrating the functional level of the mesencephalic and rhombencephalic reti-cular neurone.
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