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特集 脳波分析
脳波分析の生理学的意義
ON THE PHYSIOLOGICAL SIGNIFICANCE OF THE EEG ANALYSIS
佐藤 謙助
1
Kensuke Sato
1
1長崎大学医学部生理学第2教室
1The 2nd Dept. of Physiology, Nagasaki University, School of Medicine
pp.342-348
発行日 1963年4月1日
Published Date 1963/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201451
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I.はじめに
大脳の表層や深部の脳波記録の直観的視察からいろいろな脳の"はたらき"が明らかにされてきた。それは不規則なパタンの記録の中から規則的なものを直観的に分析し,しかもそれに生理学的な意義づけがされたためと思われる。これに対して,脳波に種々な"データ処理"を手計算や自動装置等で施し,脳波の直観的視察だけからはとらえ難いような規則的な性質も得られている。しかし,まだ脳の"はたらき"がそれによつて飛躍的に解明されたともいえないようである。
それはなぜかと考えてみると,まず,1)脳波に関心をもつ私たちの"ゆらぎ現象"についての知識が十分でないためといえる。というのは,この現象はブラウン運動や"酔い歩き"等の生物的な現象が基礎になつているにもかかわらず,数学,物理学や通信工学等の諸分野で解明されてきたからである。このことはまた次の理由をも生んでいる。つまり,2)"ゆらぎ現象"の諸性質の数理的あるいは理工学的な意義は明らかにされていてもそれらの生理学的な意義はほとんど判つていない現状であることである。
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