Japanese
English
治療
脳動脈硬化性精神機能低下の治療(その2)—ビタミンB6の応用と限界
THERAPEUTIC STUDIES ON ARTERIOSCLEROTIC PSYCHOSIS
中沢 恒幸
1
,
富永 淳
1
,
壁島 彬郎
1
,
中原 幹雄
2
Tsuneyuki Nakazawa
1
,
Jun Tominaga
1
,
Akio Kabeshima
1
,
Mikio Nakahara
2
1慶応義塾大学医学部神経科
2佐野厚生病院精神神経科
1Dept. of Neuropsychiatry Keio Univ. School of Medicine
2Dept. of Psychiatry, Sano Kosei Hosp.
pp.91-95
発行日 1963年1月1日
Published Date 1963/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201403
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I.はじめに
脳動脈硬化症は明らかに脳の血管病変に基因した,いわば形態学的次元の疾患であるにかかわらずそこに発生した精神症状が脳の組織病理所見の程度や拡がりと非対応性であることはすでにCri—tschley ('31), Wertharn ('34), Irish ('40)などにより述べられている。これは本症の精神症状が多彩をきわめること,社会的要因,病前性格も加味されることなどそれなりの理由はある。しかし元来脳動脈硬化性精神障害は老人性精神病と相重なること多く,老人性精神病脳の老人性変化も当然,脳動脈硬化性精神障害と不可分の間がらにある。従ってこのような疾患(正確には症候群)の治療には脳血流の正常化も必要であるが同時に機能低下した脳細胞の賦活も重要な課題でなければならない。
最近ビタミンB群の研究進歩に伴い,それらの神経障害との関連が盛んに講じられている。特に本項で報告するB6は,その関連する代謝系が脳内にかなり存在することから各方面の注目を集め始めた。
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