Japanese
English
解剖を中心とした脳神経手術手技
側頭葉てんかんに対する側頭葉下面からの手術
Subtemporal approach for medically intractable temporal lobe epilepsy
堀 智勝
1,2
,
近藤 慎二
1
,
竹信 敦充
1
Tomokatsu HORI
1,2
,
Shinji KONDO
1
,
Atsumi TAKENOBU
1
1鳥取大学医学部脳幹性疾患研究施設脳神経外科部門
2鳥取大学脳神経外科
1Division of Neurosurgery, Institute of Neurological Sciences, Tottori University School of Medicine
キーワード:
temporal lobe epilepsy
,
subtemporal approach
,
amygdalohippocampectomy
Keyword:
temporal lobe epilepsy
,
subtemporal approach
,
amygdalohippocampectomy
pp.977-985
発行日 1997年11月10日
Published Date 1997/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436901477
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I.はじめに
Engelらの集計3)によると,1986-1990年の間に多施設で行われた側頭葉てんかんに対する海馬・扁桃体を含めた前方側頭葉切除術(anterior temporal lobectomy:ATL)の有効率(発作消失あるいは改善)は92%であった.ところが同時期に行われた海馬・扁桃体の選択的切除術(selective amygdalohippocampectomy:以下selec—tive AH)の有効率も91%であったことより,現在では側頭葉内側部に焦点が限局する症例ではselective AHが適切な治療法と考えられている.最初のselective AHは1958年Niemeyerら14)の報告した中側頭回経由で側脳室下角に到達する方法によるものであった.1975年になるとYasargilらはシルビウス裂を経由したselec—tive AHを考案しており,良好な手術成績が報告されている28,29).いずれにせよ側頭葉内側構造に到達するためには必ず何等かの皮質を経由する必要があり,時に脳回の一部切除の行われることもある.しかしDamasioら1)が左側頭極および中・下側頭回は語彙抽出に関与している可能性を示唆しているように,手術のmorbidityをいかに最小限にするかということに重点のおかれている現代の医療では,側頭葉新皮質も発作に関与していない限り極力温存すべきである.
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