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I.緒言ならびに文献的考察
多発性脳腫瘍のなかには,いわゆるmultipleglioma,multiple meningioma,或は神経鞘腫とメニンジオーマとの合併などが屡々報告されている。このうち前2者のように多発性腫瘍の組織像がそれぞれ類似の性格を示す場合に,これを原発性の多発性腫瘍とするか,転移性の多発性腫瘍にするかは論議の多いところである。たとえば,転移説を主張する1派には,腫瘍の周囲組織への化学的刺激による腫瘍発生を唱えたStorch1)(1899),Ranke2)(1911),Bruns2)(1908),Coun-cilman4)4)(1914)など,既に19世紀から問題の多い点であつた。そして現在でも未解決の問題であることは周知の通りである。
また,神経鞘腫とメニンジオーマとの合併は前2者よりも遙かに多く存在するものであることから,その発生論に関しては,一元的な組織発生過程における障害に基くものであろうと想定して"Chitoneurome"(Martin-Déchaume)なる概念で一括されている。またメニンジオーマを合併せる場合は,神経鞘腫は単発することよりも,むしろ,屡々多発するものであり,この場合のメニンジオーマはむしろneurofibromと見做される傾向が強い14)22)。
A case, 42 year-old man, was presented in which two intracranial tumors of diverse origin were found. One was a fibroblastic meningioma, and the other a fibrillary astro-cytoma. The meningioma was situated on the left sphenoidal ridge. The astrocytoma was located in the left frontal lobe. Both tumors were successfully removed in one sessior approximately two years and three months ago, and the patient at the time of this report has recovered well, and showed no evidence of recurrence of the tumors.
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