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特集 大脳辺縁系
海馬の機能に関する実験的研究—海馬発作における海馬の機能的意義,および海馬と脳幹諸領域(とくに視床下部)との機能的相関について
FUNCTIONAL RELATIONS OF THE HIPPOCAMPUS TO THE HYPOTHALAMUS
秋元 波留夫
1
,
野口 拓郎
1
,
松本 秀夫
1
,
岩城 清
1
,
藤谷 豊
1
,
皆川 正男
1
,
風祭 元
1
H. Akjmoto
1
,
T. Noguchi
1
,
H. Matsumoto
1
,
K. Iwaki
1
,
Y. Fujiya
1
,
M. Minagawa
1
,
H. Kazamatsuri
1
1東京大学医学部精神医学教室
1Dept.of Psychiatry, Tokyo University Medical School
pp.867-876
発行日 1961年11月1日
Published Date 1961/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201142
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海馬の機能の特徴をたしかめるため,ネコの海馬の電気刺激を行ない,行動・脳電気活動および自律系徴候に現われる変化を観察した。えられた結果を次に要約する。
1)行動に現われる変化は,出現する順序により 3期にわけられた。はじめに現われる初期反応 の主体をなすのは注意反応である。第2期反応 は,顔面筋攣縮,流涎を伴う咀嚼様運動,向反 運動,常同姿勢などの運動反応である。後期反 応は,全身性の筋攣縮痙攣である。
2)行動変化と痙攣性後発射とはほぼ平行して現 われ,そして消失する。したがつて,これらの 所見全体を海馬発作とよぶことができる。海馬 から他の領域へ波及した痙攣性後発射は,海馬 におけるものとかわり高い同期性を示すが,そ れは興奮の波及そのものを表現しているとは限 らない。
3)痙攣性後発射の海馬から脳幹諸領域への波及 は,視床前核群が最も著明であり,以下外側膝 状体,後部視床下部,中脳網様体,視床非特殊 核群の順である。視床外側核と後部以外の視床 下部への波及は最も乏しい。
4)海馬交連も同時に切断する脳弓切断を行つた 後,海馬刺激による行動変化と痙攣性後発射の 脳幹諸領域への波及をたしかめた。行動変化と しては,向反運動と前肢の筋強直のみが出現 し,痙攣性後発射の波及は,外側膝状体と中脳 網様体のみに認められた。
5) 海馬性注意反応は,視床下部中央核群(とく に背内側核)の破壊で出現しなくなる。
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