特集 CT・MRIアトラス Update―正常解剖と読影のポイント
脳
各論
海馬
松末 英司
1
,
藤井 進也
1
,
小川 敏英
1
1鳥取大学医学部病態解析医学講座医用放射線学分野
pp.44-50
発行日 2009年11月30日
Published Date 2009/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104162
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海馬と扁桃体
側頭葉内側部を構成する重要な構造として海馬と扁桃体がある1~4).扁桃体,その内側下部にある迂回回,海馬頭部の内側領域をあわせた領域は鈎とも呼ばれる(図1~3).
海馬はアンモン角と歯状回からなり,隣接する海馬台,海馬采を含めて海馬体と呼ばれる.これらは記憶にかかわる機能と関連が深い.アンモン角は細胞構築の差異によりCA1~CA4に分けられる.アンモン角と連続する皮質である海馬台は海馬傍回の上面を構成する(図1~4).海馬が関連する記憶にかかわる神経回路はPapezの回路と呼ばれ,アンモン角,海馬台の錐体細胞からの遠心性線維が,海馬采→脳弓→乳頭体→乳頭視床路→視床前核→帯状回後部→帯状束→海馬傍回→海馬体に戻る.海馬の前端に近接してみられる扁桃体は,下角の前上壁をなすアーモンド型の灰白質構造であり(図1~3),情動反応の処理と記憶において主要な役割をもつとされる.扁桃体は主に6つの核からなるが,機能的には皮質内側扁桃体群と基底外側扁桃体群に分けられる.扁桃体が関連する感情にかかわる回路はYakovlevの回路と呼ばれ,扁桃体→視床内側核→前頭葉眼窩面皮質→側頭葉皮質前部→扁桃体に戻る.
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