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あとがき
A
pp.835
発行日 1960年9月1日
Published Date 1960/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200986
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残暑御見舞申し上げます。8月に入り水銀柱は連日30℃以上に上り将に灼熱地獄の有様を呈している。各地では小児マヒが大流行をし,連日の暑さにもかかわらず予防ワクチンの注射を受けに訪ずれる幼児つれの心配顔の母親で一杯である。現在ではかかつたが最後なおる可能性が薄いため誠に怖い病気である。予防ワクチンが非常に高価である上に,量的にも限られているとあつては子を持つ母親に恐慌を来たすのも無理からぬことである。小児マヒにかかつても,ワクチンが足りなかつたり,また高価なため貧しい家庭では手が出ない現状は由々しい問題である。天災として諦める前に人災といわれて然るべきものがないだろうか。早急に何らかの解決策が考えられなければなるまいが,かかる病気の予防,治療については高所からの,国家的更には国際的協力がなければ仲々はかどるものではない。この点に関しては,新厚生大臣としての,また世の母親の1人としての中山さんのとり上げなければならない1つの大きな問題がある。まず手始めにアメリカでやつているような"1人10円献金運動"も貧しい家庭の子供を救う1つの方法でもあろう。しかしこういうことで問題の本質的なことがらは解決されないということも同時に銘記すべきである。大方の善処を要望する次第である。
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