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あとがき
A
pp.807
発行日 1959年9月1日
Published Date 1959/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200845
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9月号を机上にお届けいたします。暑かつた夏もようやく終りに近ずきました。
秋の到来と共に第18回日本脳神経外科学会も間近かに迫り11月12〜14日にわたつて東京の九段会館で清水会長の下に開かれる。シンポジウムのテーマも"頭痛"と既に決まり各科からの大家によりその解明にあたることになつている。頭痛は臨床各科領域において甚だ多くみられる症状であり,軽症の場合にもそのため日常生活や作業能率が妨げられることは少くない。しかしその本態についてのまとまつた考察は閑却されていたと云つても誤言ではない。頭痛は他の疾患の際にあらわれる一症状として軽視され,また頭痛の原因となる種々な器質的障害を実証する機会に比較的めぐまれなかつたことにも由来しよう。自覚症状であるが故に頭痛は他覚的分析が容易でないし,身体の他の部分の疼痛と異なり,主観的要素により変化し易く,頭痛発生の病理と主観的な頭痛発現の状態との間に正しい関係を見出すことは容易ではない。従つてその原因を余り考えずに対症的に解熱・鎮静剤あるいは鎮痛剤が投与されるのが普通であるが,あくまで原因療法が望ましいし必要である。
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