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あとがき
H
pp.367
発行日 1958年5月1日
Published Date 1958/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200674
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千葉に於いて行われた精神々経学会も終了した。第1,第2会場もすぐ近接しており,荒木会長の運営よろしきを得て盛会であつた。会員数だけいたずらに尨大で,学会の内容必らずしもそれに伴わないような学会もないではない折から,精神々経学会は極めて熱心な参会者を集めている学会だといえる。新らしい学問領域の拡充されている学会の動向はそのような傾向にある。ほかの領域では,循環器や胸部外科の学会などが特にそうであろうか。学界の新しい動向におくれまいとし,或いは新しい領域を開拓しようとする熱意にあふれているからである。
神経の専門誌としては,学会機関誌のほかに「脳と神経」も「神経研究の進歩」もある。それに対して,精神医学のみの専門誌が無い。なんとか,そのような専門誌を持ちたいという気運が盛り上つて来た。今度の学会の際に,全国の有志が集つて,精神医学の専門雑誌の発刊を議したのは,劃期的なエポツクをなすものであつた。「精神医学」として,月刊で発刊が企画され,速に編集を進める段取りとなつた。細目については在京の世話人に一任される形となつたが,これで精神医学の領域も啓蒙と発表の舞台を得てneufologyの研究の深まりと歩調を合わせて進むことになる。勿論,最初から採算のとれるような雑誌ではないから,皆で育成するようにしたい。「脳と神経」でさえ,今日の地歩を築き上げるまでには数年に及ぶ困難な茨の道を歩んで来たのである。
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