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あとがき
H
pp.439
発行日 1958年6月1日
Published Date 1958/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200684
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最近出た野田宇太郎の「灰の季節」は,戦時下最後の1誌となつた文芸雑誌「文芸」を焼土の中で編集した著者の思い出の日記を中心に記述されたものであるが,その中に木下杢太郎の弟子思いのことが美しく記されている。
本書は木下杢太郎の頌歌とでも言いたいくらいに,太田教授の人間を全篇にまきちらしている。木下杢太郎は文芸の編集顧問であつた。戦時下の文化統制の時代にあつては,一雑誌の編集顧問さえ登録を要した。杢太郎はリベラリズムの線を危惧されながら登録された編集顧問であつた。最後の抵抗線である。
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