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あとがき
H
pp.839
発行日 1957年12月1日
Published Date 1957/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200632
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旧制度の学位審査にすべり込むための作業がいろいろと行われている。Arbeitを作る方も大変だが,それを指導しまたその審査をする方も大変である。とにかく新制の学位制度への切りかえを機に,従来たまつていたものが一度にはかれることになる。学位審査権を得た地方の大学の数も多くなつたから,それらから生み出される学位の数はおびただしい数に上る。特に医学の領域においては,濫造のきらい無しといえない。これは,今にはじまつたことではないが,最近は特にこの傾向に拍車がかけられているようである。
白線浪人ということばがあるが,聞くところによると,この頃は博士浪人という新造語さえ生れているという。笑えない悲劇である。勿論これは学位というものが価値あるものであることを前提とする。大学生,特に東大生というものが価値あるものであるが故に白線浪人というものは意味を持つ。博士浪人ということばが意味を持つとすればそれは,博士という学位が価値あるものだという前提に立たなければならない。その点はどうであろうか。
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