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あとがき
H
pp.693
発行日 1956年9月20日
Published Date 1956/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200520
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学者の欧米ゆきがこのところめだつて多いように伝えられている。知識は広く世界に求め,世界的視圏でものを考えることは歓迎すべきことである。資源に乏しい島国,しかも敗戦の惨禍からようやくたち直つてどうやらひとりだちができるかというところまで来た日本の現段階において,せめて明日の日本を負背う発芽である科学の面においてだけは,あまりにもみすぼらしく先進国の後塵を拝するところからぬけ出したいと望むのは筆者のみではあるまい。Naturwissenschaftは,国を異にしても,特に共通の地盤を持ちやすい.その意味においてこの分野から日本の再建の曙光を望み見たいのである。科学の振興において,おくれをとつているとすれば,貧乏国日本の前途は輝かしいものを期待することが土台無理となつてくるであろう。いまはつらい茨の途であつても百年の大計のために,先ず世界の進展の水準に歩調を合せた科学の贅を期待したい。近く出発を伝えられる医学者たち宮川米次,都築正男,中村隆,貝田勝美,斎藤十六,大島研三,杉靖三郎,三方一沢,日比野進,千葉保之,田坂定孝,藤森聞一,笹本浩,五島雄一郎,中脩三,大塚任,吉岡一,林髞,勝木保次の諸氏の大きな使命に声援を送りたい。
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