Japanese
English
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アーガイル・ロバートソン瞳孔の病理
On the pathogenesis of the Argyll-Robertson pupil:a critical review of literature
冲中 重雄
1
,
豊倉 康夫
1
Shigeo Okinaka
1
,
Yasuo Toyokura
1
1東京大學冲中内科教室
1Okinaka's Clinic, University of Tokyo School of Medicine
pp.117-123
発行日 1953年5月1日
Published Date 1953/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200338
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緒言
神經症候學上極めて特異な位畳を占めるものの一として我々は躊躇なくArgyll-Robertson瞳孔を擧げることが出來る。何となれば,それが我々の知る限り中枢神經系梅毒に於ける最も重要な一症候であり,その存在は逆に排他的な診斷確立を意味する程の特殊性を占有しながら,一方その成立病理に至つては神經症候學上でも他に類例を見ない程の不可解と困難に遭遇しなければならぬからである。
Argyll-Robertson瞳孔は1869年英國のDouglous Argyll Robertsonが"Four cases of spinal miosis with remarks of the reaction of light on the pupil"と題する報告に於て始めてその特徴を記載した。而して本現象が中枢神經系の如何なる部位の傷害によつて成立するかという疑問は,その後現在に至るまで一世紀に垂んとする古典的命題であつて,神經學者,眼科學者は勿論,解剖生理學者,藥理學者等多方面から莫大な數に上る文献の蓄積と,そして論争の反覆とを經て來た。從つて徒らに混亂と疑義を深めた憾みがないでもない。若し諸學説の主張する傷害部位を唯單に列擧するとすれば,對光反射弓の求心性並に遠心性經路に於ける殆どあらゆる部位を指摘せねばならぬ程繁雑多岐を極めている。茲に先人の業績を整理大別し之に最近の知見を加えつゝ又多少筆者等の考えも織り交ぜて總括検討して見たいと思う。
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