Japanese
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特集 日本脳炎
日本脳炎ワクチン接種後にみられる身体諸反応—とくに神経系合併症について
Physical Reactions Follwing Vaccination Agajnst Japanese B Encephalitis: With Special Reference To Neurological Complications
冲中 重雄
1
,
豊倉 康夫
2
,
塚越 広
2
,
黒岩 義五郎
3
,
荒木 淑郎
3
,
有馬 正高
4
,
大谷 杉士
5
,
椿 忠雄
6
,
白木 博次
7
,
高津 忠夫
8
,
楢林 博太郎
9
,
吉村 三郎
10
Shigeo Okinaka
1
,
Yasuo Toyokura
2
,
Hiroshi Tsukagoshi
2
,
Yoshigoro Kuroiwa
3
,
Shukuro Araki
3
,
Masataka Arima
4
,
Sugito Otani
5
,
Tadao Tsubaki
6
,
Hirotsugu Shiraki
7
,
Tadao Takatsu
8
,
Hirotaro Narabayashi
9
,
Saburo Yoshimura
10
1虎の門病院
2東京大学医学部脳研究所神経内科
3九州大学医学部付属脳神経病研究所,神経内科
4東邦大学医学部小児科
5東京大学医科学研究所内科
6新潟大学脳研究所神経内科
7東京大学医学部脳研究所病理部
8東京大学医学部小児科
9順天堂大学医学部神経科
10東京都監察医務院
1Toranomon Hospital
2Dept. of Neurology, Institute of Brain Research, Faculty of Med., University of Tokyo
3Dept. of Neurology, Neurological Institute, Faculty of Med., Kyushu University
4Dept. of Pediatrics, School of Med., Toho University
5Dept. of Internal Medicine, Institute of Medical Science, University of Tokyo
6Dept. of Neurology, Brain Research Institute, Niigata University
7Dept. Neuropathology, Institute of Brain Research, Faculty of Med., University of Tokyo
8Dept. of Pediatrics, Faculty of Med., University of Tokyo
9Dept. of Neurology, School of Med., Juntendo University
10Medical Exminer office, Tokyo Metropolitan Government
pp.410-424
発行日 1967年8月25日
Published Date 1967/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904416
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I.緒言
日本脳炎の歴史は古く,これが日本脳炎ウイルスによつて生ずることは周知の事実であるが,現在においてもなお適当な治療ないし予防法は確立されず,わが国では毎年夏になると必ず多数の罹患者を出し,またその対策に奔走するのが実情である.本症に対する唯一の対策は,日本脳炎ワクチン(以下日脳ワクチンと略す)により人に免疫を与えることであるとされている。実際,日脳ワクチンの学童に対する普及とともに小児における日本脳炎の発生が減少していることは事実であろう。
しかし日脳ワクチン接種についてもまつたく問題がないというわけではない。何故ならば程度の差こそあれ,ワクチンの中には副作用のないものは皆無とされているからである。一般に免疫の問題を論ずるにあたつては,免疫に関して生ずる危険が感染性疾患に罹患する危険よりも少ないことが確かめられていなければならないのであるが,実際にはワクチンの副作用に関しては不明な点が少なくないのである。現今世界的に普及している種痘に例をとつてみても,その主な副作用とされる全身性Vacciniaおよび種痘後脳炎が如何なる頻度に起こるかについては,その創始国であるイギリスにおいてすらも正確なデーターは得られていないという(Dick1),1962)。アメリカ21)においては最近この問題について調査がなされたのであるが,日脳ワクチンは種痘に比べて歴史は浅く,その副作用に関してはより不明な点が多い。
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