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後頭蓋窩手術に際して側臥位をとらしめる利點に就ては,既に日本脳神經外科研究會総會に於て田中が述べた所であるが,優秀な手術臺でない限り腹臥位をとる時に長時間に互る胸壓迫による肺,心臓の壓迫障碍は一度此の手術を施行せるものの經驗する所である。胸部壓迫に依る呼吸困難,或は胸部壓迫に依る項部の静脈血鬱滯等は屡々手術の進行を困難ならしめる。腫瘍側が右か左かに決定せる場合或は第V神經,第VIII神經切斷等の際には患側を上位となし腰椎穿刺を行うか,或はCysternaを破つて脊髄液の排除を行う時は,小脳は沈下して視野が著しく廣くなつて手術操作も甚だ容易となる。但し此の際注意すべきことは餘りに小脳が沈下する際には脳神經を強く緊張せしむる危險があり,叉側臥位より急激に體位を攣轉せしむる時は同樣に小脳,延髄の移動を來さしむる危險があるので注意すべきである。即ち以上の二缺點を除外すれば側臥位にて後頭蓋窩手術を行う際には血壓呼吸脈膊等に著變を見ない。從つて側臥位に於ける後頭蓋窩手術は推賞さるべきものと考えられる。
頸部脊髄に關しては腹臥位が主として行われており,胸部或は腰椎部では側臥位をとらしむべしと唱える人々も頸部に關しては腹臥位となせ(Schmieden)と言つているが,前記同樣腹臥位では充分に頸部を前屈せしめて呼吸困難を起させないことは可成り困難であり,寧ろ側臥位をとらしめ充分に頸部を前屈せしめることが一層手術を容易にする。適當の高さの枕を頸部の下に入れて側臥位をとらしめるのが最上の策と考える。
The lateral position by the operaion of the cerebellum and cervical spine prevents the pressure of the chest and stagnation of the venous blood. It makes complete flexion of the head to obtain the desirable space for operation.
Several cases operated by this position were presented, such as Neuriroma in C1 Neuriro-ma between the posterior fossa and C7, Spas-tic Torticollis (bilateral section of C1 C2 C3 cervial nerves), and Cervical Arachinoiditis.
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