今月の主題 めまいの基礎と臨床
各種疾患と各科の「めまい」
後頭蓋窩血管障害
大友 英一
1
1浴風会病院内科
pp.710-711
発行日 1977年5月10日
Published Date 1977/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207193
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はじめに
神経内科的臨床面からいえば,広義の「めまい」は立ちくらみと「めまい」に分けて論ぜられるのが常である.立ちくらみ(dizziness)は必ずしも脳の機能障害が関与しないものであり,一種の見当識障害,姿勢の不安定であり,くらくらする,ふらつく,揺れ動くなどと表現される.「めまい」(vertigo)は外界が自分の回りでまわる,また自分が回るなどと表現され,神経学的には立ちくらみに比しはるかに意義が大で,重要な症状である.たとえば老年者の臨床病理学的検索によると,高血圧の程度が大になるにつれて「めまい」の出現度は増加するが,立ちくらみにはこのようなことはない.
体の位置,とくに頭部の姿勢に関する刺激を伝えている半規管の刺激,すなわち通常,筋肉や関節から空間における位置について受けている刺激が強大になると,自己固有の感じについての障害が起こり,「めまい」として感ずることになる.
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