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Meningioniaは腦腫瘍中最も剔出治癒の期待の大きい腫瘍であるが,屡々腦實質を侵さないために症候が不明のままいつしか大腫瘍となつてしまつてはじめて外科に取扱われるという點や,大部分が極めて血管に富みその血管増殖は頭蓋骨外にも及ぶことの稀でない事などから其の剔出開頭に當つては屡々大出血を伴い勝で,そのために手術を二次に分割するの止むなきものがあることは古くから腦外科に經驗されている通りである。殊にMe-ningiomaがCushing-Eisenhardt等により9型に分たれているうち血管芽腫性腦膜腫(angioblastic M.)に屬するものであれば,其の手術時出血は一層激しいのが常であり,更に其の上にこの腫瘍が矢状靜脈洞をとりかこんでいる部位に大きく發生している場合には矢状靜脈洞へ注ぐ重要な腦表の集合靜脈の結紮切除のみでなく,矢状洞自體を結紮又は切除しない限り剔出は不可能となるので出血という大きな障碍物の他に矢状靜脈洞の靜脈血流を斷つと云う正常人では致命的な所置を合併しなくてはならないこととなり,手術全體として見る時,極めて危險且つ困難なものとなるのである。
腦手術中殊に出血性の腫瘍剔出に對しては,止血技術も止血法も永年の間に次第に改良され,それに加うるに輸血輸液が充分に實施さるるに至つた現在では,計畫的にその對策を講ずる限り現在では一次的に大腫瘍を剔出し得る例は珍らしくなくなつて來た。然るに腦の主要な大きい靜脈洞殊に矢?靜脈洞の流血を遮斷する危險というものは昔も今も變りのある筈はなく,外傷によるにしても,手術によるにしても,又は血管病變によるにしても,今迄疏通していた矢?靜脈洞が交通を斷たれるならば其が急性又は亜急性ににおこつた場合殆ど常に致命的であり,幸に一命を救い得たにしても重大なる神經障碍乃至意識の障碍を來たすことは,古くから知られていることである。故に腦腫瘍を剔出する場合でも今靜脈血が流れている矢?靜脈洞を何らかの間違で,或は失血を防ぐ止むを得ぬ手段として,結紮又は切除するならば,たとえ腫瘍は剔出出來ても,其の結果は悲慘なものとなることは當然覺悟せねばならない。
A farmer aged 26 with an occipital midline meningioma (angioblastic type) involving the longitudinal sinus was operated on and the tumor inclusive posterior half of longitudinal sinus and a part of falx cerebri was completely exstirpated. The postoperative course was uneventful. The tumor (10×6×7cm) weighed a little over 200 gram. It had developed between both occipital lobes, invading the covering dura, the posterior half of longitudinal sinus, supratentorial part of falx and a part of occipital bone. Histologically examined, the resected part of the sinus was almost occluded or tumorized. Instead of the invaded, sinus longitudinalis there was seen many compensa-tory collateral veins in falx and tentorium. Con-linens sinumn and sinus rectus were intact. During the operation 2300 c.c. blood was transfused of which 300 c.c. having been taken from the patient's own hemorrhage blood and from another part of the hemorrhage blood was made autofibrinfoam which served very effective as a hemostyptic living tampon, being applied to the bleeding points.
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