Paraganglion旁神經節特に頸動脈Paraganglion或は頸動脈腺の本態に就いて

On the Essence of the Paraganglion, Especially Paraganglion Cearoticum or Carotis Gland

　Pragの組織學者Kohnは1900年神經原基に由來し而も眞性神經組織に發達せず，之と性状を異にする他の細胞或いは器官に分化するものを夫々Nebenzellen及Nebenorganと命名した。NebenzellenにはC．N．S．では上衣細胞，脈絡板及脈絡叢の上皮細胞，Neuroglia等，P．N．S．では神經細胞周圍の外套細胞（StöhrのNebenzellenplasmodium）及Schwann氏細胞が所屬し，NebenorganにはC．N．S．では松果體及神經性腦下垂體，P．N．S．では副腎髓質及頸動脈腺等が所屬する。尚，網膜の桿錐體層も明かに中樞性Nebenzellenであり，又後述のPenitschkaや余の發見になる心臟Paragang-lion，更に鳥類（Muratori）及成人（瀬戶，山本及藤井）に發見された迷走神經節Paragang-lionも末梢性Nebenorganに所屬する。

　以上Kohnの合理的分類法に依るNebenze-llen及Nebenorganは最新の神經組織學的及神經生理學的見地からすると，何れも内分泌性のものである。即ちNebenorganは勿論の事，何のNebenzellenも特に吾々の神經終末の研究からすれば總て内分泌性と思考される。然し又，内分泌器官の外に知覺感受器として二重性格を有つ網膜の桿錐體層や腦上衣の如きものもある。