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頸動脈腺の外科
中山 恒明
1
1千葉醫科大學
pp.29-33
発行日 1947年2月10日
Published Date 1947/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200182
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當外科教室に於て頸動脈腺剔出手術が未だ本邦に於ては勿論の事歐米諸國に於ても全く發表を見ない,植物神經機能失調症患者に著效ある事を發見し特に特發性脱疽患者の激痛をこの頸動脈腺剔出に依り直に除去し得る事實を臨床的に證明して東京外科集談會に發表したのは昭和17年11月である,爾來この頸動脈腺に就いての各種の實驗的研究を施行して居る。他方各種疾患に對しての本腺剔出症例は今日では156例で232箇の本腺剔出標本を得て居る。著者等の發表後今日までに追試報告も十指に餘る程出て居るが其のいづれもが本手術が臨床的に著效あるを認め,余等の主張の眞實を裏書して居る事は著者等の非常なる喜びと感ずる所であると共に著者は其の本態竝に作用機轉の究明に對して一層の責任を感じて居る次第で現在鋭意其の研究に沒頭して居る。抑々本腺の發見は1743年ハツレル,タウベ兩氏に依るもので1862年ルシンカ氏が解剖學的に詳細に記載してから相次いで或は本腺の構造竝に血管の状況に就いて又は神經支配,クローム親和細胞の有無及び内分泌との關係に就いて又血壓呼吸の調整機關として又は化學物質の感受帶として解剖學的に又は生理學的に特に本腺の機能に就いて種々の發表があるが一方猶不明の點が多々ある。教室に於ても其れ等の諸點に對して實驗的に研究を行つて居るが其の一々を茲に述べる事は複雜且難解となるので臨床的に意義ありと思はれる點竝に臨床に就いて簡單に述べる。
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