Japanese
English
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腦症状を呈した紫斑病の1特異例
Report on a rare Case of Purpura with cerebral Symptoms.
猪瀨 正
1
Inose Tadashi
1
1都立松澤病院
1A Clinlco-anatonical Study Matsuzawa
pp.120-124
発行日 1949年3月1日
Published Date 1949/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200020
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前おき
臨床的には紫斑病と外因反應型の精神症状とを繰返して,遂に昏睡に陷つて死の轉歸をとつた症例を剖見する機會を持つた。その例では常に著明な血小板減少症が證明され,しかもその原因を確め得なかつたので我々は病名として本態的血小板減少症を考へた。從つて出血素因に伴つて腦にもそれに基く出血を期待した。即ち腦の血管には目立つた器質性變化のない,血液成分の病的變化に依る出血であらうと豫想して剖見したが,我々の豫想は裏切られたのであつた。臨床的精神醫學的には本例は紫斑病の際の症候性精神病と稱し得るが,腦の解剖學的所見は極めて獨特のものであつて,未だこの樣な血管の病變の記載を知らない。尚腦以外の諸器管をも若干檢査することが出來たので,腦の病理學的變化の位置づけも正しく行うことが出來た。そこで本例の臨床像を紹介し,次で病理組織學的所見の概要を報告すると共に既知の2・3の疾患との鑑別を行うことにする。
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