Japanese
English
総説
脳外傷による高次脳機能障害―その特徴と見逃されやすいポイント―
Higher Brain Dysfunction after Traumatic Brain Injury : Its Characteristics and Pitfalls in Diagnosis
益澤 秀明
1
Hideaki Masuzawa
1
1新東京病院脳神経外科・神経放射線科
1Department of Neurosurgery and Neuroradiology, Shin-Tokyo Hospital
キーワード:
ventriculomegaly
,
diffuse axonal injury
,
diffuse brain injury
,
neurobehavioral outcome
,
brain atrophy
Keyword:
ventriculomegaly
,
diffuse axonal injury
,
diffuse brain injury
,
neurobehavioral outcome
,
brain atrophy
pp.933-945
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100546
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はじめに
重症頭部外傷のあとに人柄が変わり,知的能力も低下することは以前から知られていた41, 36, 37)。近年,交通事故による脳外傷後にこうした障害が残り,仕事にも戻れず,家族を困らせるような事例が目立つようになり,マスコミや行政からも“高次脳機能障害”と呼ばれるようになった。ひとつには,担当医が障害を見過ごしたり軽く評価した場合には自動車賠償責任保険(いわゆる自賠責保険),その他の損害賠償保険や司法による十分な救済を受けられず,さらには行政による公的福祉の恩恵にも浴さないからでもあった54, 57)。
自賠責保険システムでは平成12年にこうした状態を“脳外傷による高次脳機能障害”と命名している54, 57)。本稿では,“脳外傷による高次脳機能障害”が従来の高次脳機能障害と混同されやすく,診断上見過ごされやすい病態であることを指摘しながら,その医学的特徴を非外傷性障害とも関連付けて紹介する。
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