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特集 グリオーマ―最近の治療―
1.5-ALA蛍光ガイド下摘出術
5-ALA Fluorescence Guided Tumor Resection
山口 文雄
1
,
高橋 弘
2
,
寺本 明
1
Fumio Yamaguchi
1
,
Hiroshi Takahashi
2
,
Akira Teramoto
1
1日本医科大学脳神経外科
2日本医科大学武蔵小杉病院脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Nippon Medical School
2Department of Neurosurgery, Nippon Medical School Musashi-kosugi Hospital
キーワード:
5-ALA
,
glioma
,
protoporphyrin
,
photodynamic diagnosis
Keyword:
5-ALA
,
glioma
,
protoporphyrin
,
photodynamic diagnosis
pp.1027-1033
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100402
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はじめに
脳実質内腫瘍を選択的かつ確実に摘除することは脳腫瘍手術の基本理念である。しかし,境界不明瞭な腫瘍の場合にはどの範囲までを切除したらよいのかの判断に困る。特に,グリオーマなど浸潤性格を持った腫瘍においては,色調の違いだけでは正常脳組織と腫瘍組織の識別はかならずしも容易ではない。グリオーマ腫瘍塊の全摘出が生存率向上につながることは周知の事実であり19),腫瘍の存在範囲をいかに的確に捉えるかが患者の予後を決定するといえる。
この問題を克服するための方法として術中蛍光診断(光線力学的診断:Photodynamic Diagnosis:PDD)が知られている。20世紀はじめから光線力学療法(Photodynamic Therapy:PDT)とともに研究が進められてきたが,悪性腫瘍の検出目的には1948年Figgeら9)の報告をはじめ,さまざまな試みがされてきている。近年,光感受性物質の開発や光源,検出機器の改良などでわれわれの臨床の場での実用性が高くなってきている。ことに,非常に使いやすい5-Aminolevulinic acid (5-ALA)の登場で術中蛍光診断を日常診療で用いる施設が増えてきている。
ここではグリオーマに対する5-ALA蛍光ガイド下腫瘍摘出術についての基礎,有効性と手術の実際を紹介する。
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