Japanese
English
特集 脳深部刺激療法
1.神経機能解剖
Functional Neuroanatomy for the Deep Brain Stimulation
田中 賢
1
,
小倉 光博
1
,
西林 宏起
1
,
板倉 徹
1
Satoshi Tanaka
1
,
Mitsuhiro Ogura
1
,
Hiroki Nishibayashi
1
,
Toru Itakura
1
1和歌山県立医科大学脳神経外科
1Department of Neurological Surgery, Wakayama Medical University
キーワード:
deep brain stimulation
,
functional neuroanatomy
,
globus pallidus
Keyword:
deep brain stimulation
,
functional neuroanatomy
,
globus pallidus
pp.821-826
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100344
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はじめに
定位脳手術は,異常活動を起こしている特定の神経核や線維連絡を定位的に凝固破壊あるいは電気刺激することによって,ニューロンサーキット全体の神経活動を是正し病態の改善を図るという治療法である1, 2)。従来から振戦,筋固縮,ジストニア,バリスム,舞踏病などのhyperkinetic movement disorderに対して,主として視床破壊術(thalamotomy)が行われてきた。さらに,近年さかんに行われている脳深部刺激療法(deep brain stimulation:DBS)は,脱分極ブロックやneural jammingなどの作用機序3, 4)によって,脳組織に破壊を加えることなく異常興奮ニューロンの活動を修正させることが可能である。
これらの定位脳手術の背景としてDeLongらが提唱した大脳基底核の神経回路網の仮説5)は疾患の病態を理解する上できわめて有用である。また,淡蒼球や視床下核を中心としたその後の多くの知見の積み重ねによって,古典的なDeLongらのモデルの矛盾が徐々に明らかとなり修正されてきた6)。本稿では,定位脳手術に際して必要なこれらの神経機能解剖のうち,淡蒼球7)に焦点を絞り,その入出力の線維連絡8)を概説する。
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