Japanese
English
総説
パーキンソン病黒質における超音波輝度変化―その臨床的意義
Echogenicity of the Substantia Nigra in Parkinson's Disease : Its Relation to Clinical Findings
三輪 英人
1
,
大川 真沙江
1
,
近藤 智善
1
Hideto Miwa
1
,
Masae Okawa
1
,
Tomoyoshi Kondo
1
1和歌山県立医科大学神経内科
1Department of Neurology, Wakayama Medical University
キーワード:
substantia nigra
,
Parkinson's disease
,
transcranial ultrasound
,
iron
,
echogenicity
Keyword:
substantia nigra
,
Parkinson's disease
,
transcranial ultrasound
,
iron
,
echogenicity
pp.199-204
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100140
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神経疾患における超音波検査の適応は限られており,現在では脳血管障害患者における頭蓋内または頭蓋外の血管および血流の評価に用いられるか,または手根管症候群などの末梢神経病変の診断に応用されているのみである12, 19)。ところが,近年,超音波検査を神経変性疾患の病態解析に,特にパーキンソン病の補助診断への応用に関して注目が集まりつつある。2005年6月,「第16回パーキンソン病および関連疾患に関する国際シンポジウム」がベルリンで開催され,パーキンソン病における超音波検査に関するシンポジウムがもたれたが,これがパーキンソン病における超音波検査に関する初めての国際会議であった。Beckerら4)によって,パーキンソン病の黒質において超音波輝度変化が存在することが初めて報告されたのが 1995年である。以降,すでに10年経過しており,この間,主にドイツのグループを中心に継続的な研究がなされ,現在までに多くの成果の蓄積がある。それにもかかわらず,これまでパーキンソン病患者における超音波検査は一般には普及しておらず,その臨床的有用性について論じられることは稀であった。その主な理由は,「パーキンソン病患者において超音波検査で異常が検出されるなど信じられない」という先入観であったことは容易に推察される。本邦でも,パーキンソン病患者脳における超音波検査は全く普及していない。本稿では,パーキンソン病における超音波検査の診断的意義を中心に,早期診断または発症前診断への応用の可能性,黒質輝度変化の病態などについて述べたい。
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